昨日のマニラ湾
旅行会社を経営していた頃、旅行業界の笑い話に、パリの一流レストランはオーダーを取にも決まりがある。日本人観光客へ、その日の特別料理は教えない。勧めるのは材料が余ってしまった昨日の不人気メニュー、だから日本人観光客用メニューが存在る。
これだけ聞いて笑ってしまうのは業界人だけ、他の人が聞いたら、日本人をバカにしている話に聞えてしまうだろう。実際の日本人観光客は、パリのレストランでも最上の客で、マナーも良く大歓迎されているが。一つ笑われてしまうのは、オーダーに個性がない。
何にしようか迷っている時、店の責任者かチーフから、特別料理が在ると聞かされれば、ほぼ全員が特別料理を頼んでしまう。幾ら一流レストランでも、特別料理は２０人分と作らない。全員に頼まれてしまうと売り切れ、それでは常連客に怒られてしまうようだ。
レストランへグループか複数で行って、何にを食べるか迷った時。誰かが無難な物を頼むと、右へ倣えで意見が一致してしまう国民性。俺も私もと同じ物を注文するのが良しとされ、変った物を注文し辛い雰囲気になっていた。
昔、先輩達とランチへ行ったとき、１人変わった物を注文したら。それだけが遅く出て来て、早く食べた先輩達に睨まれたことが。こんな経験は誰しも有るはず、ま〜一緒の物を頼んで置けば、無難だと誰もが考えてしまう要因かも知れない。
何を食べようとレストランへ行く人より、レストランへ行って考える人が多く。その人達に救いなのが日替わり定食で、特にランチは日替わりを頼む人が多い。ところが、マラテだけでなく、マカティでも日替わりランチを出している店はマレだ。
私が知る限り、マラテで日替わりランチを出したのは、昨日食べに行った美鈴だけかも知れない。何故、日替わりランチを出せないか、簡単な話は作れないから。フィリピン人コックを主体にすれば、誰が和風料理を考えられるか。決まった料理でも、まともに作れないのに、日替わりなんか誰も作らそうとはしない。
左は昨日の日替わり定食２２０ペソ（５２０円）
右は美鈴定食３３０ペソ（７８０円）
と言うことは、美鈴は日本人コック、板前が作るの。無論、たなべや他の店も日本人板前は居る。ただ、大箱だったりして、日替わりまで手が回らないのが実情。その点、美鈴ぐらいの客席なら、やる気になれば難しくないが、今までランチに日替わりを出す店がなかった。
観光客が多いマラテなら、決まった料理を作るなら面倒がない。日替わりを作っても、既存の料理の組み合わせ、変った物を作るのには食材探しが難しい。そんな考えで新しいメニューを考えない店や、特別な料理は夜だけの店もある。
そんな中、日替わりが在ると助かってしまうのは、マラテ周辺の日系・韓国系・中華へ食べに行って、毎回同じメニューを舐め回し、何度も食べた料理の中から、注文する物を考える日々。そんな時日替わりが在ると、新鮮な気分で注文できる。
上の写真を見れば判るが、日替わりと言っても簡単な物。小さくて薄いとんかつに鶏手羽大根がメイン、厚焼き卵・ポテトサラダ・野菜サラダは毎回同じらしい。定番メニューの美鈴定食は、真中にある鮭の腹身焼が、脂が乗っていて旨かった。
２２０ペソの日替わり定食、５２０円と考えれば、日本で食べても似た様なランチ価格かも。何処へ行っても、日替わりの美味しい店が在る日本へ、今日帰ったら。明日はランチを食べに、チョット豪華な銀座かリーズナブルな新橋へ行って、日替わりランチを堪能しようと思った。
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